第39回大阪国際女子マラソン記念対談 | スポーツジャーナリスト 増田 明美さん、奥村組代表取締役 奥村太加典社長 記念対談

しっかりと準備してスタートラインに

シールドマシン

▲シールドマシン

増 田  すごいスケールですね!このような壮大な工事現場に来たのは初めてです。ここではどのような工事が行われているのですか?

奥 村  2022(令和4)年度下期に開業目標の相鉄・東急直通線〔整備主体 (独)鉄道・運輸機構〕のうち「新綱島駅」と「新横浜駅」(ともに仮称)をつなぐ全長3,304メートルの地下トンネルを掘削する工事を行っています。

増 田  今、わたしたちがいるのは、どのあたりなのでしょうか?

奥 村  掘り始めてから約1,400メートル、新横浜駅まであと1,900メートルくらいの地点になります。

増 田  マラソンコースで例えると、折り返し地点の少し手前くらいでしょうか。大勢の人がこれだけ大きな機械を使って工事して一日に、どれくらい掘り進むことが出来るのですか?

奥 村  おおよそ13~16メートルです。

増 田  そもそもトンネルはどのように掘削していくのでしょうか?

奥 村  都市部の地下鉄のトンネルはほとんどがシールドマシンと呼ばれる筒状の掘削機で安全に地中を掘り進めるシールド工法でつくられているのですが、このシールドマシンは、トンネルの形状や掘削する地盤など、その工事に合わせて、一から設計します。工場で製作したシールドマシンは、いったん分割して現場に運びこみ、再度組み立てて、いよいよ掘進スタートです。ここまでおおよそ2年以上かかるのですよ。

増 田  それは大変な準備ですね!スタート地点に立つまでの準備がとても大切だということは、マラソンに通じるところですね。選手も出場するレースが決まったら、半年前から準備します。時には1日40~50キロの長距離を走り込んで脚づくり、そこから徐々にスピードに切り替えて調整して…。トンネル工事も、スタートに立つまでが勝負なのですね。

現場の一歩一歩にドラマ

シールドマシンの先端部

▲シールドマシンの先端部

増 田  トンネルの先頭部分、大きなコンクリートのブロックが1枚ずつ機械を使って精密に組み立てられていく様子には圧倒されました。

奥 村  シールドマシンで掘り進んだ部分が崩れてこないよう、セグメントと呼ばれるトンネルの外壁となるブロックを組み立てている様子です。少しずつですが、力強く、着実に前に進んでいることがお分かりいただけたかと思います。

増 田  マラソンの場合、景色やタイムを見て、自分がどこにいるのか、コンディションはどうかを確認できますが、周囲の様子を見ることができない地下の工事では、どのように状況を確認するのですか?

奥 村  シールドマシンの掘削状況やトンネル内の地盤状況などはすべて発進基地近くにある中央管理室で、最新のコンピュータにより24時間体制で管理・確認しています。また、掘削した際に出る土や石を運び出すために、一日に延べ200台ものダンプカーが現場に入退場しますが、周辺交通への影響を最小限に抑えながらスムーズに工事が進められるようGPSで位置情報を把握するなど、徹底した管理を行っています。トンネル工事は、マラソン同様、安定したイーブンペースで走ることがとても大切で、そのために日々さまざまなチェックを行っています。

24時間体制で工事状況を管理

▲24時間体制で工事状況を管理

増 田  長い道のりを完走するために、地道な努力が行われているのですね。

奥 村  われわれが手掛ける工事は数年がかりのものも多く、とてつもない時間と労力がかかっています。工事に着手する前には、調査から計画などの準備に大きく時間を割きます。そして施工、完成まで…それぞれの段階でコツコツと努力を重ねて、課題を乗り越えながらゴールに向かっていきます。入念な準備と努力を重ねていく持続力が求められるところは、建設もマラソンも同じだと思います。

増 田  完成後には、わずか数分で通り抜けるトンネルを、コツコツ掘って、セグメントを1枚1枚組み立てて進んでいく。現場の皆さんはまさに、3,304メートルのマラソンを走っているのだな、と見ていて胸が熱くなりました。

走り続ける人たちを応援

トンネルの外壁形成するセグメント

▲トンネルの外壁形成するセグメント

奥 村  建設の仕事は、努力と準備、これまで培った技術力、そして何よりも関係する全ての人の支えがプロジェクトの進行を加速させる大きなパワーとなります。だからこそ、工事がしゅん功したときの感動は何物にも代え難いものとなります。

増 田  そうですね。それはマラソンにも通じることだと思っています。走っているときは一人ですが、実は背後にはいろいろな協力者がいます。監督、コーチ、トレーナー、栄養士、シューズを作る人、一緒に練習した仲間、そして家族…。まさにチームワーク。こうした支えがあるから走れるわけで、こうした点も、マラソンが多くの人の感動を呼ぶ理由になっていると思います。

増 田  今年も「大阪国際女子マラソン」をサポートされています。

奥 村  今日、増田さんが現場を見学されて感じていただいたことが、まさにサポートさせていただいている理由です。今回も多くの有力ランナーがエントリーしており、すばらしいレースになることを期待しています。協賛会社として、しっかりとサポートしていきたいと思います。

増 田  現場では、女性が生き生きと働く姿が印象的でした。選手もそうですが、夢を走り続ける女性たちはステキですね。今年の「大阪国際女子マラソン」はこれまでにもまして注目を集める大会になりそうです。楽しみ。今日は本当にありがとうございました。