関西テレビ放送
舘山聖奈アナウンサー
対談に先立って、今大会のスタート・ゴールとなるヤンマーフィールド長居(大阪市東住吉区)において、フルマラソンを走った経験もある奥村社長が、福士さんを相手に1㌔走対決に挑戦しました。
ハンディキャップとして35秒先行してスタートした奥村社長を福士さんが猛追する模様は、「大阪国際女子マラソン公式YouTube」でご覧いただけます。普段から月間170㌔のジョギングを習慣とする奥村社長の挑戦結果は如何に?
30㌔までの楽しさとその後の後悔
福士さんは現役時代に大阪国際を6回走りましたが、思い出に残っている大会はありますか
一番印象に残っているのは、やっぱり2008年大会の初マラソンですね。
ゴールを目前に何度も転倒したんですけど、テレビ中継が終わる前に何とかゴールできました(笑)。
苦い経験ではあるんですけど、全部が今につながっているというか、あそこから私自身の面白いドラマが始まりましたね。
大阪国際では優勝もできて、転倒もして、途中棄権もして、本当にいろんな経験ができました。
2008年大会は私もテレビで観戦していました。当時はまだフルマラソンを走ったことがなかったんですが、その後フルマラソンを走るようになってから、あのときの福士さんの苦しさがよく分かりました。30㌔までは楽しいんですよね。
でも、30㌔をすぎるとガクッと体力がなくなって、後悔が始まるんです。どうして出場してしまったんだろうと・・・。ただ、応援に来てくれた人の前でやめるわけにはいかないので、何とか40㌔まで走り続けて、残りはもう気力ですね。
みんな同じことを考えているんですね。安心しました。私は自分で(出場を)選んだんだから、仕方がないと思いながら走っていました。
もう嫌だなと散々思うんですけど、レースの次の日には、もっと速く走りたいとか、勝ちたいとかといった気持ちが湧き上がってきて、またシューズをはいて走っているんですよね。全部自分の気持ち次第なのかなと思います。
既存の枠を超えた挑戦
「人を大切に」という想い
挑戦することの大切さって、どう感じていますか
人生って最後まで何かに挑戦し続けることなんじゃないでしょうか。
小さなことかもしれないし、昨日の延長かもしれない、でも何らかの挑戦をして、1割でも、1%でも、それまでの自分を超えていく。そうあるべきなんだと思います。
これが限界と思うのではなく、「出来る」と信じて突き進むことも大切ですね。
勝負に負けても、そこからまたもう一回勝負したいという気持ちにならなければいけないと思います。
何回もチャレンジしてだめだったとしても、そこから進むべき新たな方向が見えてくることもあります。
とにかく、まずやってみなきゃいけない。何でもいいので興味があることに挑戦することが大事。楽しむことも挑戦だと思う。挑戦することって、やっぱり面白いことですよ。
奥村組が今、企業として挑戦していることはありますか
奥村組は今、将来のありたい姿を示した『2030年に向けたビジョン』、具体的には「企業価値の向上に努め、業界内でのポジションを高める」「持続的な成長に向け事業領域を拡大し、強固な収益基盤を築く」「人を活かし、人を大切にする、社員が誇れる企業へ」の3つを掲げ、その実現に向けてさまざまな挑戦をしています。例えば、当社は建設会社なので、土木と建築を両輪として事業を展開していますが、それだけではなく、建設とはちょっと離れた領域、たとえばエビやフグの陸上養殖やイチゴ栽培、バイオマス発電など、新たな事業にも着手しているんです。
建設会社の枠を超えてますね。
当然、そうした新事業も含めて、しっかりと収益を確保しなければ業界内でのポジションを高めていくことはできません。そのためにも、働き方改革などを推し進めて、社員をもっと活性化させていきたいと考えています。
ちなみに、「企業は人である」という考えから、当社のシンボルマークは「人」をモチーフにしています。
人を大切にする会社っていいですね。今、ワコール陸上競技部のアドバイザーの立場で選手を指導したり、陸上教室を開いて学生に教えたりしているので、私も「人を大切に」と思いながら指導していきたいと思います。
でも、自分が走るのは簡単なんですけど、人に教えるのは難しいですね。「走ること」=「きついこと」と思ってもらいたくないので、少しでも楽しいことだと分かってもらえるように教えられればいいなと思っています。
今日、福士さんとウォーミングアップから一緒に走らせてもらって、すごく楽しかったですよ。前向きな指導をしていただきましたし、話もおもしろい。福士さんはみんなを盛り上げるのが上手なので、いいコーチ、監督になれると思います。きっと笑いが絶えない良いチームになるんじゃないですか。
頑張ります。
大阪の応援をエネルギーに
第42回大会を走るランナーへのエールをお願いします
今回はコースも新しくなります。大阪の街を楽しみつつ、沿道からの大阪ならではの温かい応援もエネルギーに変えて快走してほしいと思います。
私は沿道から「お嫁においで」と声をかけられたこともあります(笑)。大阪の人たちはすごく面白いし、親身になって応援してくれるのでありがたいですね。
ランナーの皆さんはレースに向けてたくさん準備をしていると思うので、この大会を支えてくれている方々やボランティアの皆さんへの感謝の気持ちも持ちながら、最高のパフォーマンスをしてほしいです。
ランナーの皆さんが必死に頑張る姿、挑戦する姿は多くの人に元気や勇気を与えてくれますので、熱いレースが展開されることを大いに期待しています。
ありがとうございました
プロフィール
奥村 太加典氏 /おくむら・たかのり(奥村組 代表取締役社長)
1962年生まれ。奈良県香芝市出身。創業者を曾祖父に持つ。中央大学理工学部土木工学科を卒業後、86年奥村組入社。2001年、39歳で5代目社長に就任し、同社の着実な成長をけん引。20年から全国建設業協会会長も務める。15年ほど前に健康のためにジョギングを始め、48歳でフルマラソンに初挑戦。52歳で3時間2分38秒の自己ベストを記録。今はフルマラソン大会出場こそ控えているが、月間170㌔のジョギングは続けている。
福士 加代子氏/ふくし・かよこ(ワコール女子陸上競技部アドバイザー)
1982年生まれ。青森県北津軽郡板柳町出身。2004年アテネ五輪から16年リオデジャネイロ五輪まで、日本の女子陸上選手では初めてとなる五輪4大会連続出場を果たす。3000、5000m、ハーフマラソンで日本記録を樹立。マラソンでは、13年モスクワ世界選手権で銅メダルを獲得するなど、22年間、日本女子長距離界の第一人者として活躍。22年1月大阪ハーフマラソンを最後に、第一線を退く。
協賛への想い
奥村組は2018年の第37回大会から大阪国際女子マラソン協賛社として大阪から世界に羽ばたく女性アスリートを応援している。マラソンは、スタートラインに立つまでに入念に準備を重ね、チームや家族など支えてくれている人の思いを背負いながら、ひたむきにゴールを目指して走り続ける。奥村社長は「建設工事も事前に計画を整え、さまざまな準備をした上で着工に漕ぎつける。そして、近隣住民や発注者、設計監理者など大勢の人に支えられながら懸命に竣工というゴールを目指す。建設とマラソンは通じる部分が多く共感できること、さらには女性活躍を推進する当社の取り組みからも本大会を協賛社として応援している」と話す。
第42回 大阪国際女子マラソン
1月29日(日)号砲
新春の「なにわ路」を女性アスリートが駆け抜ける大阪国際女子マラソンは、1982年にスタートし、今年で42回目。
今大会では、第30回大会(2011年)以来、12年ぶりにコースを変更。
レースのさらなるレベルアップ、記録更新を図る。
号砲は、1月29日(日)12時15分、ヤンマーフィールド長居。
テレビ中継:1月29日(日)12時00分~14時55分
関西テレビ系全国ネット
https://www.osaka-marathon.jp