第38回大阪国際女子マラソン特別鼎談 | 株式会社奥村組 奥村太加典社長×元女子マラソン選手 野口みずきさん×フリーアナウンサー 加藤綾子さん

全員で成し遂げる姿に共感

2010年からフルマラソン挑戦を続ける奥村社長

▲2010年からフルマラソン挑戦を続ける奥村社長。社員と駅伝に出場するなど、走ることでさまざまな人と交流を深めている

加 藤  38回目を迎える大阪国際女子マラソンを記念して、皆さんにお話を伺っていきたいと思います。奥村組さんは前回から大会に協賛され、女性アスリートの熱い闘いをサポートされています。

奥 村  長く大阪を拠点に仕事をさせていただいてきたこともありますし、マラソンにかける選手に共感したことも大きな理由です。というのも、マラソンはスタートラインに立つまでの厳しい練習があり、レース中もチームメイトや運営スタッフ、沿道の皆さんに支えられてはじめてゴールできます。私たちの建設の仕事も、着工までの地道な努力があって、工事が始まってからも実に多く人に支えられて成し遂げることができるんです。

野 口  おっしゃる通り、マラソンは監督やコーチ、マネージャー、チームメイトの支えがなければ、絶対に勝てません。そうした人たちがいなかったら、私自身、成長できなかったと思います。

加 藤  そうなんですね。そのマラソンですが、実は女性には体力的に厳しいということで、公式に女性の参加が認められたのは1972年のボストンマラソンと、わずか半世紀前のことです。日本では79年の東京国際女子マラソンが初めて。意外に歴史が浅いことに驚きました。

野 口  日本の女子マラソンを牽引してきた先輩方のおかげで自分もこの競技に挑戦できたのだと感謝しています。ランニングブームもあり、今では老若男女問わず楽しめるスポーツになっていますね。

建設業界も働く女性を応援

加 藤  奥村組さんは、建設現場での女性活躍推進に力を入れているとお聞きしました。

奥 村  トンネルを掘ったり、大きな橋や建物を作る建設現場は、体力的に厳しいとのイメージもあり、長く男性中心の職場でした。でも今は様変わりし、女性が活躍する環境が整えられ、女性ならではの感性が生かされる場面が増えています。男性では気づけないようなことに、どんどん力を生かしてもらい、マラソンと同様に、建設業界もあたりまえのように女性が活躍できるようにしたいと思います。

加 藤  私も働く女性が、もっといろいろなことにチャレンジできる社会になればいいと思いました。アナウンサーの仕事しか知らなかった私は、フリーになってから、周りの方の支えもあり、ドラマなど新たな挑戦をさせていただいています。そのおかげで本当にたくさんのことを得ることができました。

奥 村  いい経験をされましたね。建設の世界では、業界団体が建設業で働く女性を「けんせつ小町」の愛称で女性のチャレンジを応援しています。また、2015年からは「けんせつ小町活躍推進表彰」という形で女性を中心に編成した工事チームの優れた取り組みを顕彰し、モチベーションを高めることも行っています。奥村組のチームは第1回で優秀賞、第3回では最優秀賞を受賞しました。

加 藤  建設業界における女性活躍の「金メダル」獲得ですね。そうした取り組みは大切ですね。

人は人と支え合い共に成長

走りの力強さだけではなく、気持ちにも力強さを持っている選手にもっと出てきてほしいと話す野口さん

▲野口さんは、走りの力強さだけではなく、気持ちにも力強さを持っている選手にもっと出てきてほしいと話す

加 藤  金メダルと言えば野口さんですよね。アテネ五輪の感動は忘れられません。

野 口  アテネはとにかく暑くて、最初の10キロくらいで軽い熱中症のようになりました。でも、ここで負けたらダメだと自分の気持ちと戦いながら走って、何とか勝つことができたんです。ゴールに近づくころには周りはすっかり暗くなっていたのですが、コースや競技場だけが光り輝いてとてもきれいで、自分がそこに吸い込まれるような感覚でした。

加 藤  そのときの野口さんしか感じることができない感覚ですね。

野 口  ずっと時間をかけて準備をしてきて、いま歓声を独り占めしている。それがゴールテープを切った瞬間終わるんだと思うと切なくて。「ああ、ゴールしたくない」という思いも感じました。

奥 村  これまで支えてくれたチームの皆さんや、応援してくれた人たちの想いを力にしてのゴール。そうした経験は、スポーツはもちろん、人生のさまざまな場面で人を大きく成長させますね。

加 藤  ちなみに、野口さんは日本初の女子マラソンとして紹介した東京国際女子マラソンの大会記録もお持ちです。

野 口  2007年に優勝したあの大会は、私が選手としてピークの時でもあり、練習もパーフェクトにできて、急な坂道もまるで平坦な道のように走れたことがとても印象に残っています。あとでゴールの写真を見たら、満面の笑みでしたね(笑)。

加 藤  野口さんのように、活躍する女性アスリートが増えてきたことについて、奥村社長はどのように感じられますか。

奥 村  女性アスリートの活躍は、特に女性に大きな勇気をもたらすのではないでしょうか。さまざまな女性アスリートの活躍を一般の女性が自分に置き換えて見ることで、もっと自分は頑張れるという気持ちになるきっかけになると思いますね。活躍する女性アスリートが増えれば、さまざまな分野での女性の活躍を後押しすることにつながるのではないでしょうか。

新春の大阪から、世界をあっと言わせる走りを!

2020年につながるように

鼎談の様子

加 藤  さてそんな野口さんは、この大阪国際女子マラソンの大会記録もお持ちなんですね。ご自身にとって大阪のレースはどんな印象ですか。

野 口  国内外のいろいろな大会に出場させていただきましたが、大阪は独特の雰囲気があり、すごく明るくてパワーを感じました。走っていてそれが気持ちよかったです。

奥 村  沿道の人たちも、関西弁の大きな声で応援する人が多いですしね。私も市民ランナーとして大阪のコースも走るのですが、沿道からの応援にはずいぶん力をもらっています。

鼎談の様子

野 口  ちなみに、どれくらいのタイムで走られるんですか。

奥 村  3時間は切れていなくて、ベストが3時間2分台です。

野 口  すごい!それってめちゃくちゃ速いですよ。素晴らしいですね。

加 藤  それでは最後に今年の大阪国際女子マラソンに期待されることをお聞きしたいと思います。昨年は、松田瑞生選手が初マラソン初優勝を飾りました。

野 口  まさに、ニューヒロインの誕生を印象づけた大会でしたね。東京五輪まで1年半に迫った大会でもありますから、今回も新しいヒロインが登場して盛り上げてほしいです。最近の選手は少し弱気な部分があるので、もっと強気な走りで、世界をあっと言わせてくれることを期待しています。

奥 村  同感です。松田選手は地元大阪出身で、明るいキャラクターでも盛り上げてくれました。私も、野口さんがおっしゃったように、東京につながる走りを期待します。そうした選手が現れることは、他の大会にもいい影響を与えると思うんです。その積み重ねが、東京へとつながっていけばいいと思いますね。

加 藤  それぞれの選手が持ち味を出し、素晴らしい走りをしてほしいですね。本日はありがとうございました。